窓装飾プランナーのマドカです
今回はフラットカーテンについて解説します。
フラットカーテンをオーダーする前に!
今、フラットカーテンをお考えなら少しだけお待ちください。
フラットカーテンには、意外と知らない幾つかの「落とし穴」があります。
特に重要なのは、横幅のゆとり(生地の量)です。
これはフラットカーテンの仕上がりを大きく左右するため、しっかりと理解しておきたいところ。
そこで本記事では、フラットカーテンをオーダーする前に知っておくべきポイントを「7つの項目」でまとめてみました。
因みに、1.5倍(2ッ山)ヒダや2倍(3ッ山)ヒダについて知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
【カーテンのヒダについて】 1.5倍ヒダや2倍ヒダとは?【プロが解説します】①フラットカーテンとは
まずフラットカーテンとは、文字通りフラットに仕立てたカーテンのことをいいます。
普通のカーテンには上部につまんだようなヒダ山があり、「2つ山」だったり「3つ山」になっていると思いますが、フラットカーテンにはこのヒダ山がありません。
そのため出来上がりのフラットカーテンは、平面で真っ直ぐな1枚仕立てのカーテンになります。
フラットカーテンの最大の特徴は、柄がはっきりと見えてシンプルなこと。
無地のフラットカーテンも素敵ですが、「大きな模様」や「お気に入りの柄を目立たせる」という演出に向いています。
では、皆さんが想像しているフラットカーテンはどのようなイメージでしょうか。
たとえばカーテンを閉じているとき、
- カーテンレールと平行で真っ直ぐな状態
- 横幅に少しだけゆとりがある
- ゆるやかなウェーブがある
- 大きめのウェーブがある
これはフラットカーテンの横幅のゆとりを表現していますが、4つの中でほぼどれかに当てはまると思います。
とはいえ、全く想像できない方もいらっしゃると思いますので、ここから詳しく解説します。
②見た目を左右する!フラットカーテンの「倍率」
フラットカーテンをオーダーする際には、「フラットカーテン1.1倍」「フラットカーテン1.3倍」という表現をします。
この「〇〇倍」というのは、カーテンレールの長さに対して使う生地の量を指していて、仕上がりを左右するのはこの「倍率」です。
例えば・・・
フラットカーテン1.1倍なら、レールの長さに対して1.1倍の生地をつかう。
フラットカーテン1.3倍なら、レールの長さに対して1.3倍の生地をつかう。
という意味です。
つまり、倍率が大きいほど生地の量が増えることになります。
これを先ほどの4つのイメージで表現してみると、
- レールと平行で真っ直ぐな状態 →(1.0倍)
- 横幅に少しだけゆとりがある →(1.1倍)
- ゆるやかなウェーブがある →(1.2倍~1.3倍)
- 大きめのウェーブがある→(1.4倍~1.7倍)
ほぼこのようになります。つまり、
横幅のゆとりがいらないなら1.0~1.1倍。
ゆるやかなウェーブがほしいなら1.2~1.3倍。
大きめのウェーブがほしいなら1.4倍~1.7倍。
が必要ということになります。
では、さらに詳しくみていきましょう。
一般的なフラットカーテンの倍率
フラットカーテンをオーダーする場合、一般的には1.1倍~約1.7倍の範囲で指定します。
1.0倍だとまったくゆとりが無くて生地がピーンと張った状態になりますので「間仕切り」には適していますが、カーテンとして使う場合は1.1倍以上のゆとりをとるのがお勧めです。
中でも人気の倍率は、シンプルでほぼ真っ直ぐな状態の1.1倍や軽いウェーブの出る1.3倍ですが、カーテンを閉じた時の印象は違ってきます。
倍率による見え方の違い
少しざっくりですが、画像で説明するとこのような感じです。
フラットカーテン1.0倍 (カーテンレールに対して真っ直ぐなイメージ)
フラットカーテン1.1倍 (ほんの少しゆとりがある)
フラットカーテン1.2倍 (ゆるいウェーブがある)
フラットカーテン1.3倍 (ウェーブがある)
フラットカーテン1.5倍 (大きめのウェーブがある)
フラットカーテン1.7倍以上 (かなり大きめのウェーブがある)
写真の生地はちょっと張りのある素材なので、1.3倍と1.5倍が少しわかりづらくてすみません。
このようにひと口にフラットカーテンといっても、倍率が大きいほど生地量が増えて、ウェーブの溝が深くなります。
何となく、カーテンを閉じたときの印象が変わるのをイメージできるのではないでしょうか。
③フラットカーテンの「メリット」と「デメリット」
またフラットカーテンは、倍率によってそれぞれ「メリットとデメリット」があります。
倍率が小さい場合(1.0倍~1.2倍)
【メリット】→ 柄がはっきり見える。窓辺がすっきりとした印象になる。
【デメリット】→ ヒダ山が無いのでカーテンを束ねるときに広がりやすい。(生地の厚さにもよります)
倍率が大きい場合(1.3倍~1.7倍)
【メリット】→ シンプルだけれど存在感がある。
【デメリット】→ カーテンを閉じると、中央は真っ直ぐに伸びて「サイド側に生地が溜まり」やすい。そのため均等なウェーブを出すには自分で寄せる必要がある。(※イメージ図A参照)
※イメージ画像A
中でも「倍率の大きいフラットカーテン」は、ウェーブの効果で奥行きが生まれます。
けれど、画像のように波の部分と真っ直ぐな部分が生じるため、ウェーブを均等にみせるにはわざわざ手で寄せなければいけません。
この問題を解決するのが、形態安定加工です。
ではどのようなものか見ていきましょう。
④フラットカーテンの「形態安定加工」
カーテンの形態安定加工といえば、今ではご存知の方も多いのではないでしょうか。
いわゆる、カーテンの広がりを抑えるための加工ですね。
ヒダ山仕様のカーテンではお馴染みの加工ですが、実はフラットカーテンにも「形態安定加工」が可能なんです。(※メーカーや生地によって対応できない場合もあります)
形態安定加工をすることでウェーブが整いやすくなり、カーテンを閉じた状態でも均等なウェーブが保てます。
従って先ほどの画像(上図A)のように、中央だけが真っ直ぐに伸びることはありません。
このように、大きい倍率(ウェーブ)のフラットカーテンをオーダーする場合は、使い勝手もよくなる「形態安定加工」がお勧めです。
※こちらは、形態安定加工付きのフラットカーテンのイメージです(画像B)
※イメージ画像B
最近では、フラットカーテンのウェーブを美しく整えるカーテンレールも発売されています。
窓装飾プランナーのマドカです
カーテンレールとフラットカーテンの購入を同時に考えている方にお勧めですよ♪
興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
【知って得する】これでフラットカーテンのデメリットを解消!TOSOのカーテンレール【シエロクラウド】⑤フラットカーテンは「Aフック」がお勧め
では、フックについてはどうでしょうか。
フラットカーテンのフックタイプは、倍率に関係なくAフック(レールが見えるタイプ)がお勧めです。
Aフックなら、生地とレールが干渉しないためスラスラと開け閉めができます。
一方、Bフックの場合は生地とレールが干渉するため、1.3倍以上のフラットカーテンにはお勧めしません。
倍率が大きい(生地量が多い)と、レールにぶつかって開け閉めがしにくくなるためです。
このように、Aフックならレールに干渉しないので開け閉めがしやすいです。
カーテンフックについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
【カーテンフックの選び方】Aフック?それともBフック?⑥フラットカーテンが一番安いとは限らない
カーテンをオーダーする時、「フラットカーテンが一番安い」という言葉を耳にしたことはありませんか。
2倍ヒダや1.5倍ヒダは値段が高いから、「予算を抑えるためにフラットカーテンにしよう…」と思う方も多いはず。
実はそこにも、ちょっとした落とし穴があります。
確かに、ヒダを寄せたプリーツカーテンに比べると、フラットカーテンは生地量が減るためお値段も安いです。
しかしフラットカーテンでも、1.5倍ヒダカーテンと同じ価格、もしくは高くなってしまうことがあるのです。
その理由を順番に説明します。
フラットカーテンと1.5倍ヒダカーテンが同じ価格って?
まず、フラットカーテンと1.5倍ヒダカーテンが同じ価格になってしまう原因についてですが。
これは結論からいうと、カーテン製作時に使用する生地巾が同じになるからです。
オーダーカーテンは、着物と同じようにひとつの反物から作られています。
1巾は大体100cm~150cmが一般的で、生地を「縦方向」に使いますので、カーテンの横幅がこの生地巾を超えてしまうときは「1巾、2巾…」というように生地をつなぎ合わせて仕上げる必要があります。
いわゆる、カーテンの巾つなぎ(継ぎ目のジョイントが入ること)ですね。
その1巾に対する「フラットカーテンと1.5倍ヒダカーテンの価格」が、メーカー側の価格設定により重なってしまう箇所があるという事です。
因みに補足ですが、薄手のシアーカーテン(刺繍レースカーテンやボイルレースカーテン等)には、継ぎ目の入らないヨコ使いの商品が沢山あります。
フラットの方が1.5倍ヒダカーテンより高くなるケースとは?
またフラットカーテンのお値段が、1.5倍ヒダカーテンより高くなるケースも稀にですが存在します。
これはメーカー側が設定する価格帯によるもので、カーテンの横幅(大きさ)によって使用する生地巾の価格帯にズレが生じるためです。
例えば、ある国内メーカーの1つの商品を例に挙げてみますね。
《いずれも生地巾が150cm:横幅200cm×高さ260cmの両開きカーテンの場合》
1.5倍ヒダカーテンだと、2巾使用で
横幅91cm~200cm:高さ241cm~260cmまでの定価が33,700円(税別)
一方フラットカーテンも、2巾使用で
横幅135cm~268cm:高さ241cm~260cmまでの定価が34,600円(税別)
このようになります。
つまり、同じサイズでも定価設定の範囲によって、フラットカーテンの方が高くなってしまうという訳です。
初めからフラットカーテンにこだわっている場合は別として、予算重視の場合はこうしたケースもあるので、参考までに1.5倍ヒダの見積りも同時に確認してみると良いでしょう。
⑦フラットカーテンを二重吊りにする際の注意点
最後に、フラットカーテンを二重吊りにする場合は「横幅の倍率」にも注意しましょう。
たとえば、ゆとりが1.3倍以上になるとウェーブが大きくなりますよね。
そのため「カーテンレールの種類」や「設置状況」により、前後の生地が干渉し合う可能性もあります。
というわけで、もし1.3倍以上のフラットカーテンを二重吊りにする際には、「ダブルレールの前後の間隔」や「取付箇所の奥行き」等をお店側に相談されることをお勧めします。
【窓の演出】フラットカーテンの組み合わせとコーディネート例まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
フラットカーテンには選べる倍率があり、加工によって使い勝手も変わりますので参考になりましたら幸いです。
最後にもう一度まとめると、
- フラットカーテンは横幅の「倍率」によって見た目が変わる
- 横幅の倍率でそれぞれ「メリットとデメリット」がある
- 1.3倍以上のフラットカーテンには「形態安定加工」がお勧め
- フラットカーテンには「Aフック」が向いている
- フラットカーテンが一番安いとは限らない
- 倍率の大きいフラットカーテンの二重吊りはレールの間隔を確認する
このようになります。
フラットカーテンの魅力は、何といっても「デザインそのものを楽しめる」ことや「シンプルさ」にあります。
タペストリー感覚で窓をすっきり演出するなら1.1倍~1.2倍。
ウェーブを付けてスタイリッシュに演出するなら1.3倍~1.7倍程度がお勧めです。
形態安定加工については、カーテンを閉じた状態でも「ウェーブの形に拘りたい」方に向いていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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