窓装飾プランナーのマドカです
こんにちは。
今回は、オーダーカーテンの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の違いについてお伝えします。
この記事をご覧いただいている方は、カーテンの「形態安定とか形状記憶ってなに?」
おそらくこのような疑問をお持ちではないでしょうか。
オーダーカーテンの基本的な縫製スタイルには、メーカーを問わず
- スタンダード(レギュラー)縫製
- 形態安定加工
- 形状記憶加工
この3つのタイプがあります。
そこで今回は、「形態安定加工」と「形状記憶加工」は一体何が違うのか、その点について分かりやすく解説したいと思います。
カーテンの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の違い
「形態安定加工」に「形状記憶加工」…。
両方とも似たような名前ですし、一体何が違うのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そもそも「形態安定加工」と「形状記憶加工」では、その性質が異なります。
たまに2つの名前が混ざって「形状安定」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、購入時はどちらとも判断ができますので、この機会に名前の違いも覚えておきましょう。
形態安定加工とは?
「形態安定加工」は、カーテンを縫製した後に蒸気(熱)をあて、ヒダのプリーツを整える加工です。
つまり、出来上がったカーテンにスチームアイロンをかけるイメージですね。
プリーツの山の部分が「尖ったイメージ(くの字型)」になるものが多く、どちらかというと「角ばった印象」のプリーツになります。
形態安定加工は、裾の広がりを抑えるアイロンプレス加工と認識しておきましょう。
※生地の性質によっては丸みのあるプリーツになります。
形態安定加工の持続性
形態安定加工の持続性は、一般的にカーテンのお洗濯3回前後になります。
「生地の性質」や「糸の太さ」により多少の違いはありますが、目安としてこれくらいの持続性です。
但し、遮光カーテンのような厚めの素材だと、「加工がつきにくい」「加工がとれやすくなる」など、効果が半減する場合もあります。
国内大手メーカーのスミノエでは、「お洗濯10回まで効果が持続」するドレスアップ10加工もありますが、やはり「厚手」や「横糸が強い」生地だと広がりやすくなる可能性も否めません。
形態安定加工は、おもに、
●1.5倍ヒダカーテン
●2.0倍ヒダカーテン
に対応しています。
窓装飾プランナーのマドカです
国内メーカーの「スミノエ」と「川島織物セルコン」では、フラットカーテンにも形態安定加工が可能ですよ。
形状記憶加工とは?
「形状記憶加工」は、カーテンの縫製工程で生地を「真空釜にセット」してから、プリーツの形を記憶させる加工です。
こちらは、美しいウェーブが繊維に記憶されますので、「S字のように丸みのある」プリーツになります。
また形態安定加工より長持ちするため、プリーツラインをより美しく保ちたいときには、形状記憶加工がおすすめです。
形状記憶加工の持続性
形状記憶加工の持続性は、一般的にカーテンのお洗濯約5回までは効果が十分持続するとされていますが、近年では半永久的なものも増えています。
とはいえ「厚手の素材」は、お洗濯を繰り返すうちに広がりやすくなる可能性もあるでしょう。
形状記憶加工は、おもに、
●2倍ヒダカーテン
に対応しています。
但し、カーテンの種類によっては生地の性質上、形態安定加工と形状記憶加工ができないものがあります。
窓装飾プランナーのマドカです
国内大手メーカーの「サンゲツ」と「東リ」では、1.5倍ヒダカーテンにも形状記憶加工に対応していますよ。
スタンダード(レギュラー)縫製とは?
因みに「スタンダード(レギュラー)縫製」は、生地本来の風合いを活かした一般的なカーテン縫製です。
簡単にいうと、特別な加工をしていないノーマルなカーテンのことですね。
素材の特性がそのまま仕上がりに反映されるため、やはり厚手の素材や横糸の張りが強いと、画像のように「裾の向きがバラバラ」になったり「広がってしまう」ことがあります。
窓装飾プランナーのマドカです
また、裾の広がりはカーテンの幅継ぎ(継ぎ目のジョイント)の影響も大きいです。
カーテンの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の選び方
このように、カーテンの基本的な縫製には、
「スタンダード(レギュラー)縫製」
「形態安定加工」
「形状記憶加工」
この3タイプがあります。
ただ、実際にオーダーカーテンを購入するときはどの加工を選べば良いのでしょうか。
もしも迷った時は、次の選び方を参考にしてください。
- ナチュラルで自然な風合いを好むなら「スタンダード(レギュラー)縫製」
- 裾の広がりを抑えたいなら「形態安定加工」
- 美しいプリーツラインを好むなら「形状記憶加工」
窓装飾プランナーのマドカです
オーダーカーテンを注文する際は、加工について尋ねると専門家(窓装飾プランナー)のアドバイスが貰えると思います。
形態安定と形状記憶ができないカーテンもある
先述のように、素材の性質から形態安定加工や形状記憶加工に対応していない「ドレープ(厚地)カーテン」と「レースカーテン」もあります。
たとえば、薄地でデリケートなレース生地だったり特殊な糸を使用したものなど、生地の種類によってどちらの加工もできないカーテンがあります。
カーテンの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の価格
では、価格についてはどうでしょうか。
一般的には「スタンダード縫製」が一番お求めやすい価格になります。
スタンダード縫製を標準とすると、「形態安定加工」と「形状記憶加工」はどちらもオプション縫製になりますので、お値段も少し高めになってしまうのが現状です。
また「形態安定加工」よりも「形状記憶加工」のほうが割高です。
窓の大きさやカーテンのサイズによっても違ってきますが、窓1ヵ所あたりで考えると、
《形態安定加工の場合》
スタンダード価格+約2,000円~3,000円前後
《形状記憶加工の場合》
スタンダード価格+約3,000円~5,000円前後
これくらいの差が出てきます。(※一般的な目安です)
ただ近年では、メーカー側が初めから「形態安定加工」を推奨していることもあり、スタンダード縫製が標準縫製ではなく、形態安定加工を標準縫製としているメーカーも増えてきました。
つまり最初から、裾の広がりを抑えたカーテン「形態安定加工」をお客様に届けたい…ということだと思います。
形状記憶加工カーテンの注意点
美しいS字型のプリーツラインが魅力的な「形状記憶加工」のカーテンですが、時前に把握しておきたい注意点が3つあります。
それは、
- カーテン裾のコーナーウェイトが無い
- 縫製後のカーテンには加工ができない
- 裏地付きカーテンには加工ができない
という点です。
それぞれ簡単に説明しますね。
1.カーテン裾のコーナーウェイトが無い
この図をみてお分かりいただけるでしょうか?
一般的にオーダーカーテンの場合は、カーテンの裾の端にコーナーウェイト(細長いおもり)が入っています。
しかし、形状記憶加工の場合はこの「コーナーウェイト」が入りません。
この理由は、形状記憶加工による熱でウェイトが溶けてしまうことを防ぐためですので、はじめに理解しておきましょう。
窓装飾プランナーのマドカです
コーナーウェイトは、カーテンの裾に入れることで「裾のツレ」を防いだり、生地に安定感をもたらす役割があります。
2.縫製後のカーテンには加工ができない
形状記憶加工は、「縫製したあとのカーテン」に加工することはできません。
3.裏地つきカーテンには加工ができない
カーテンに「裏地をつける」ことがありますが、その場合も形状記憶加工はできません。
オーダーカーテン国内大手メーカーの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の名称
「形態安定加工」と「形状記憶加工」は、カーテンメーカー各社で呼び名が違います。
メーカー名 | 形態安定加工の名称 | 形状記憶加工の名称 |
サンゲツ | ライトプリーツ加工 | パーマネントプリーツ加工 |
東リ | ソフトプリーツ加工 | プリーツ加工 |
リリカラ | 形態安定加工 | 形状記憶加工 |
スミノエ | ドレスアップ加工 | グレードアッププリーツS加工 |
川島織物セルコン | ソフトウェーブ加工 | ファインウェーブ加工 |
シンコール | ライトウェーブ加工 | ウェーブ加工 |
このように、各メーカーによって色々な名前がつけられていますが、皆さんがこの名前を覚える必要はありませんので「形態安定」と「形状記憶」という名前の違いだけはしっかり覚えてくださいね。
窓装飾プランナーのマドカです
オーダーカーテン専門店や、窓装飾プランナーの在籍するお店なら「形態安定加工」または「形状記憶加工」と伝えるだけで、どちらの加工なのか判断がつきます。
各メーカーの「形態安定加工」と「形状記憶加工」のサイズ制限
また「形態安定加工」と「形状記憶加工」のカーテンをオーダーする場合は、サイズにも制限があります。
※横幅と高さの対応サイズ
メーカー名 | 形態安定加工の対応サイズ | 形状記憶加工の対応サイズ |
サンゲツ | 横幅300cmまで 高さ300cmまで | 横幅300cmまで 高さ280cmまで |
東リ | 横幅300cmまで 高さ260cmまで | 横幅300cmまで 高さ280cmまで |
リリカラ | 横幅270cmまで 高さ280cmまで | 横幅300cmまで 高さ270cmまで |
スミノエ | 横幅300cmまで 高さ300cmまで | 横幅300cmまで 高さ280cmまで |
川島織物セルコン | 横幅300cmまで 高さ310cmまで | 横幅300cmまで 高さ260cmまで |
シンコール | 横幅300cmまで 高さ270cmまで | 横幅250cmまで 高さ320cmまで |
これは各メーカーによって、加工に使われる専用の機械が異なるためです。
上の表に記載している数字は、カーテン1枚あたり(片開き)の製作可能なサイズになりますので、形態安定加工を例に挙げると、
サンゲツでは、カーテンの両開き(2枚分)の場合
巾は600cm・丈は300cmまで。
リリカラでは、カーテンの両開き(2枚分)の場合
巾は540cm・丈は280cmまで。
ということになります。
製作サイズに制限があるとはいえ、この大きさなら一般的な窓にはほぼ対応しているといえるでしょう。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は、カーテンの「形態安定加工」と「形状記憶加工」の違いについて解説しました。
最後にもう一度まとめます。
- 形態安定加工は、カーテン縫製後の生地を整えるアイロンプレス加工。(洗濯約3回前後の持続性)
- 形状記憶加工は、カーテン縫製時の生地に形を記憶させる加工(洗濯5回までは十分持続する)
- 形態安定加工は、1窓あたり2,000円~3,000位割高になる
- 形状記憶加工は、1窓あたり3,000円~5,000位割高になる
- 形状記憶加工には、コーナーウェイトが入らない
このように「形態安定加工」と「形状記憶加工」の違いを理解しておくと、実際にカーテンをオーダーする時にも役に立つと思いますので、ぜひ参考にしてください。
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