窓装飾プランナーのマドカです
こんにちは。
今回は、レースカーテンの「形状記憶加工」にスポットをあてます。
先日、お客様から
「レースカーテンに形状記憶は必要ですか?」
このようなご質問をいただきました。
確かにレースカーテンの形状記憶加工は、好みの問題もあり、賛成派と反対派で意見が分かれるところです。
そこで今回は、レースカーテンに「形状記憶加工」は必要なのか…専門家としての個人的な観点でアドバイスしたいと思います。
その前に「形状記憶加工」と似たような名前で「形態安定加工」というのもありますが、この2つは加工の性質が違いますのでチェックしておくといいですね。
※形態安定加工と形状記憶加工の違いについてはこちらの記事をどうぞ。
プロが教える!カーテンの【形態安定加工】と【形状記憶加工】の違いとは?レースカーテンに「形状記憶加工」は必要?
私自身は、基本的にレースカーテンに形状記憶加工は必要ないと思っています。
少しくらいヒダが撚れたり裾が広がっても、それはそれで味わいがありレース特有のナチュラルな素材感を楽しめるので…。
この記事をご覧いただいている方の中にも
「レースカーテンに形状記憶加工は必要ないし大げさなのでは?」
と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、形状記憶加工にはカーテンのプリーツ(凹凸)を美しく整える効果がありますので、レースカーテンの種類や目的に応じて「形状記憶加工を使い分ける」のがベストだといえます。
そこで、私自身のこれまでの経験から、
「形状記憶加工がお薦めのレースカーテン」
「形状記憶加工が必要ないレースカーテン」
それぞれを例に挙げてご紹介したいと思います。
形状記憶加工がおすすめのレースカーテンは?
改めて付け加えるなら、レースカーテンの形状記憶加工は、きっちり整ったウェーブが好みという方に向いている加工です。
私が思う「形状記憶加工がおすすめのレースカーテン」は次のようなタイプです。
- 生地が厚めのレースカーテン
- 継ぎ目(幅継ぎ)のあるレースカーテン
順番に解説しますね。
厚めのレースカーテンには「形状記憶加工」がおすすめ
形状記憶加工が向いていると思うのは、まず「生地が厚めのレースカーテン」です。
例えば外からの視線を防ぐ「ミラーレースカーテン」や、太陽の熱を反射する「遮熱レースカーテン」がありますよね。
このミラーレースや遮熱レースには、太い糸が使われていたり、生地の裏側に特殊な糸が編み込まれているため、レースカーテンの中でも生地が厚めになっています。
なので、薄くて透明度の高いシアーレースに比べると、裾が横方向に広がりやすくなることも。
こうした理由から、特に高さの低い「小窓」や「腰高窓」に厚めのレースカーテンを取りつける場合は、形状記憶加工の方が美しいプリーツが楽しめるでしょう。
継ぎ目(幅継ぎ)のあるレースカーテンには「形状記憶加工」がおすすめ
もう一つは「継ぎ目(ジョイント)」が入るレースカーテンです。
オーダーカーテンは1つの巻き物(反物)から作られますが、選ぶ生地によって、有効巾(1巾)が100cmだったり150cmだったりとそれぞれ違います。
つまり、窓の大きさに合わせて「1巾、2巾、3巾…」と生地をつなぎ合わせるため、出来上がったカーテンには「つぎ目が入る」ものが多くなります。
たとえばこんなイメージですね。
画像で、カーテンの縦方向に「つぎ目」の跡がくっきりとみえているのがお分かりいただけますか?
オーダーの際は、多くのレースカーテンにもこの「つぎ目」が入り、これが原因でヒダが出にくかったり、プリーツの形が崩れやすくなる可能性もあります。
そのため継ぎ目が入るレースカーテンには、形状記憶加工をつけたほうがプリーツの凹凸が美しくなるでしょう。
形状記憶加工が必要のないレースカーテンは?
次に、私が思う「形状記憶加工が必要のないレースカーテン」には次のようなものがあります。
- 「継ぎ目」が入らないレースカーテン
- 大きい窓のレースカーテン
こちらも順番に説明しますね。
「継ぎ目」が入らないレースカーテン
先ほどは「継ぎ目のあるレースカーテン」についてお伝えしましたが、継ぎ目が入らないレースカーテンもあります。
とくに透明感のあるサラッとしたボイルレースなどに多くみられますが、「刺繍入りのレースカーテン」や「シンプルな無地のレースカーテン」等があります。
たとえばこんなイメージです。
これは継ぎ目なしで美しく仕上げることができ、業界では「ヨコ使い」とか「ワイドレース」と呼びます。
ワイドレースの場合は、本来縦向きにつかう反物を横向きにつかいますので、生地を1巾、2巾とカットしたり何枚もつなぎ合わせる必要がなく、1枚の生地で美しいレースカーテンが出来上がります。
なので、先ほどの画像のような継ぎ目(タテの縫い目)は、どこにも見当たりませんよね。
このようにワイドレースは、継ぎ目無しの美しいプリーツが作れるため、形状記憶加工は必要ないと考えます。
因みに、ヨコ使いのワイドレースを選ぶときの目安としては
有効巾が260cm以上のものを選ぶと、継ぎ目が入ることなく美しいレースカーテンができるのでお勧めですよ。
※ヨコ使いのため、カーテン丈のサイズが「生地巾に納まるもの」を選ぶのがポイントです。
大きい窓のレースカーテン
そのほか「掃き出し窓(大きな窓)」に取り付けるレースカーテンの場合も、形状記憶加工はほぼ必要ないといえます。
窓の高さが大きくなればなるほど、レースカーテンの重心も下の方にかかってきますよね。
その重力で下向きに引っ張られる力が働き、形状記憶加工をつけなくても割と綺麗なプリーツが楽しめます。
レースカーテンの予算を抑えるなら「形態安定加工」という選択も!
冒頭でもお伝えしたように、オーダーのレースカーテンは「形態安定加工」と「形状記憶加工」が選べるようになっています。
但しこの2つはオプションになりますので、価格として安いものから順に並べると
- スタンダード(レギュラー)縫製
- 形態安定加工
- 形状記憶加工
このようになります。
スタンダード縫製を標準価格とした場合、
形態安定加工は → 1窓あたり約2,000円~3,000円前後
形状記憶加工は → 1窓あたり約3,000円~5,000円前後
ほぼこれ位の範囲で割高になりますので、費用面で決めかねる要因になるかもしれません。
また予算的にレースカーテンの「形状記憶加工」は厳しくても、「形態安定加工」ならそれほど金額の負担も大きくならないと思います。
結論としては、レースカーテンの形状記憶はあまり必要ないですが、お伝えしたレースカーテンの種類やお部屋のテイスト(エレガント・クラシック・ナチュラルなど)に合わせて
「スタンダード縫製」
「形態安定加工」
「形状記憶加工」
このように使い分けるのが理想的と言えるでしょう。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は、「レースカーテンに形状記憶加工は必要なのか…?」という点について、私自身の考えをお伝えしました。
レースカーテンは日中もお部屋の主役。
なので目にする時間も長いですし、窓辺を美しく飾りたいという想いから「形状記憶加工」で悩むこともありますよね。
そこで迷ったときには、
- 厚めのレースカーテン・継ぎ目のあるレースカーテン → 形状記憶加工を選ぶ
- 大きい窓のレースカーテン・継ぎ目無しのレースカーテン → 形状記憶加工は選ばない
これをひとつの選択肢としてみてはいかがでしょうか。